2022/02/05
相続を放棄するメリットとデメリット!相続放棄の概要を解説②
【不動産の相続を放棄するメリット】
不動産の相続放棄を選択した場合のメリットについて解説します。
●不動産の相続を放棄するメリット①借金を返済する義務がなくなる
亡くなった方がプラスの財産以上に借金をしている場合、法定相続分の割合に応じて借金を返済しなくてはなりません。
配偶者と子どもの2人が法定相続人で借金が3,000万円あったとすると、それぞれ1,500万円ずつ借金を引き継ぐことになります。
借金の返済が遅れているときに発生する「遅延損害金」がある場合には、遅延損害金も支払わなくてはなりません。
その他に、事業用資産のローン返済や家賃の対応など、売却しても価値が評価されにくいものや売却するものがない場合は借金の負担がより大きくなります。
事故や違反による損害賠償金が存在していた場合も、大きな借金を背負うことになります。
相続を放棄すると、こうした負債を引き継ぐ必要がなくなります。
●不動産の相続を放棄するメリット②遺産分割協議に関わらなくてよい
相続放棄すると相続人から外れるため、遺産分割協議に関わる必要はありません。
遺産分割は、協議や煩雑な手続きなど負担が大きいと感じる方も多くいます。
親族を亡くした矢先に心身ともに疲弊するので、煩わしさから解放されるというメリットがあります。
利害が絡むと良好だった人間関係でもトラブルが発生することも少なくありません。
相続人間での争いが望ましくない場合は、相続放棄を選択することは中立の立場を築けるというメリットがあるといえます。
●不動産の相続を放棄するメリット③遺産が分散しない
故人が事業を営んでいてご自身以外の相続人が運営を引き継ぐ場合、相続を放棄することで遺産が分散されないメリットがあります。
遺産分割協議によって事業継承者に遺産を集める方法もありますが、債務が相続人に引き継がれるなどのデメリットが発生する可能性があります。
特定の相続人がすべての相続を引き継ぐ場合に、その他の親族が相続放棄を選択することはシンプルな手続きで有効です。
【不動産の相続を放棄するデメリット】
続いて、不動産の相続放棄を選択した場合のデメリットについて解説します。
●不動産の相続を放棄するデメリット①プラスの財産を相続できない
相続を放棄すると、借金を引き継がなくてよいメリットがある反面、財産をすべて相続できないデメリットがあります。
もし現在ご自身が暮らしている住居が故人の資産だった場合は、住み続けられなくなるので注意しましょう。
プラスの財産が多ければ相続して損をすることは防げますが、資産の全体を熟知できていない場合は、限定承認を利用しましょう。
万が一、負債がプラスの財産を上回った場合でも、差額に関しては弁済を逃れられます。
●不動産の相続を放棄するデメリット②相続権が移る
相続権には優先順位があり、順位が高い相続人が相続を放棄すると次の相続人に移ります。
法律で、第一順位は子ども、第二順位は親や祖父母、第三順位は兄弟姉妹と定められています。
したがってご自身が相続放棄したことで、ご両親や祖父母が思わぬ負債を抱えてしまうことがあります。
相続の関係者を把握し、負債を含む財産の相続権が移行する旨を事前に伝えておきトラブルを回避しましょう。
【まとめ】
相続放棄とは、故人が所有していたプラスの財産もマイナスの負債もすべて引き継がない選択です。
ご自身が相続する内容を理解して、相続を放棄するメリット・デメリットを整理してみましょう。
手続きの期限である3か月はあっという間に過ぎてしまうので、事前にどのように対応すべきか考えておくとスムーズです。