2022/02/20
家の売却における現状渡しとは?メリットやデメリットと売主の責任①
家の売却における現状渡しとは?メリットやデメリットと売主の責任
家を売却する方法に、「現状渡し」という不動産取引があります。
今回は、家を現状渡しで売買するとはどういうことか、現状渡しの特徴や売主が持つ責任、メリット・デメリットをご説明します。
家の売却をどのように進めるとよいのかお悩みの方は、ぜひご参考になさってください。
注意すべきポイントを押さえて、トラブルのない売却をおこないましょう。
【家を現状渡しで売却①売主が持つ責任】
家を現状渡しで売却するということは、今の状態のまま買主に引き渡すことを意味します。
中古物件は築年数によっては、内装の傷や壁の割れなど不具合が発生することは珍しくありませんが、現状渡しをする際はリフォームや補修をすることなく建物を引き渡します。
設備の故障や雨漏りなどの瑕疵も含みます。
現状有姿(げんじょうゆうし)渡しや現況渡しも同様の意味を指します。
現状渡しの売買契約をする際は、トラブルを防ぐため、売主に生じる責任が定義されています。
売主に課せられる責任について解説します。
●売主が持つ責任①契約不適合責任
契約不適合責任とは、引き渡す建物が契約の内容と適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
2020年以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたもので、民法改正にともない売主の責任の範囲が広がりより明確になりました。
契約不適合責任が問われるケースは、実際の物件状態と契約内容が異なる場合です。
不動産取引において、不動産の詳細は売買契約書や重要事項説明書並びに物件状況報告書等(以下、契約書類)に記載します。
もし引き渡す家に不具合がある場合、契約書類にその内容について明記されていれば責任はわれません。
しかし契約書類に記載されていない場合は、契約内容と同様の状態にする責任が課せられます。
修繕が不可能な場合は、不動産代金の減額を求められる可能性があります。
物件の瑕疵については、契約書にしっかり記載することが重要です。
●売主が持つ責任②告知義務
売主は物件について知っている事実を、買主に伝える責任があります。
不具合の箇所や建物に関する事件や事故を告知することは、売主の義務です。
現在損傷している不具合の箇所だけではなく、過去に修繕や補修をおこなった履歴についても伝えなければいけません。
現在の建物の状態を、「現状確認書」や「付帯設備表」にまとめて買主に告知するとわかりやすいでしょう。
売主が不動産業者でなければ契約不適合責任免責(責任を負わない)という特約も有効ですが、もし売主が知っていることを告知しなかった場合は、契約違反となり損害賠償を請求される可能性があります。
相続などで入手したなど、売主が売却する不動産の状況を把握していない場合などは、買主に物件状況を伝えることができませんので。その旨を明記したうえで契約不適合責任免責特約を付けるか、インスぺクションを利用するなどトラブルのない取引ができるよう心がけましょう。
また、契約不適合責任を免責にするという事は買主の危険負担や費用負担が増える可能性がありますので、契約不適合責任を負う契約に比べて、価格が下がる場合が多いです。
次回は現況渡しのメリット・デメリットについてお話致します。