2022/03/26
不動産の売却の際に結ぶ媒介契約とは?契約の種類やおすすめの媒介契約①
不動産の売却の際に結ぶ媒介契約とは?契約の種類やおすすめの媒介契約
不動産の売却の際に、売主と不動産会社のあいだで媒介契約を結ぶことをご存じでしょうか?
媒介契約は売主と不動産会社とのあいだに起こるトラブルを防ぐ内容となっており、不動産を売却する方にとっては知っていて損はないでしょう。
媒介契約の内容や種類をご理解いただき、満足する不動産売却をおこないましょう。
最後におすすめの媒介契約の種類についてもご紹介します。
【不動産の売却において媒介契約とは】
不動産を売却する場合に、多くの方が不動産会社に仲介を依頼して買い手を見つけてもらうでしょう。
媒介契約とは、不動産を売却する際に売主と不動産会社のあいだで交わす契約のことをいいます。
仲介を依頼された不動産会社は媒介契約を結ぶことで、依頼を受けた売主が不利益を受けない売買契約を締結する義務が課せられます。
媒介契約とは、不動産の売買や仲介などの取引の取り決めである宅地建物取引業法に基づき、仲介に関するトラブルを未然に防ぐものとして扱われています。
売買の約束事を明確化し、双方に不利な状況にならない取引がおこなわれるため、売主にとって安心です。
【媒介契約の内容】
国土交通省は標準媒介契約約款を定めていて、不動産会社は契約約款をもとに媒介契約書を作成します。
媒介契約書に書かれている内容は以下のとおりです。
・媒介契約書の種類
・指定流通機構(レインズ)への登録
・売主への業務報告の有無
・契約の期間
・報酬について
・違約金について
約款によって契約期間は、後述する一般媒介以外については3か月以内と定められ、基本的には自動更新はできません。
ただし売主から申し出があれば、引き続き契約を締結することは可能です。
また、売主から不動産会社へ支払う報酬については、買主と売買契約が結べたときに発生する成功報酬です。
したがって媒介契約を結んだだけでは、費用は発生しないことを覚えておきましょう。
支払い方法については、双方のあいだで協議したうえで決定しますが、売買契約が成立したときと物件の引き渡しの時期に、半額ずつに分けて支払うケースが一般的です。
【不動産の売却の際に結ぶ媒介契約の種類】
不動産を売却する際に、売主と不動産会社とのあいだで媒介契約を結びますが、売主は3種類の媒介契約から選択します。
具体的には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類であり、それぞれの特徴と違いを解説します。
●媒介契約の種類とレインズの登録
3種類の媒介契約は、主に4つの項目において違いがあります。
「自分で買主を見つけられるか」「複数の会社に依頼できるか」「販売活動の報告の有無」「レインズの登録義務」について注目し、違いを明確にしていきましょう。
まず、媒介契約について知識を深めるために、「レインズ」についてご説明します。
レインズとは、国土交通大臣が宅地建物取引業法に基づいて指定した不動産流通機構です。
レインズは不動産流通の活性化を目的に、全国4拠点に配置された不動産公益法人が運営するコンピューターネットワークシステムです。
不動産会社の担当者ひとりの規模では買い手を探し出すには限界があるため、全国規模のオンラインシステムでより幅広く情報を共有できるよう業務を請け負っています。
レインズのサイトには、物件の場所、大きさ、価格などの情報が不動産会社向けに掲載されていて、リアルタイムで情報を受けとれます。
それでは、媒介契約の内容について解説します。
●一般媒介契約
一般媒介契約とは、同時に複数の不動産会社に依頼できる契約です。
さらに自分で購入希望者を見つけて成約することも可能で、3つの媒介契約のなかでもっとも制限が少ない契約の種類です。
一般媒介契約を締結するときは、明示型か非明示型のどちらかを選びます。
明示型とは、売主が依頼している他の不動産会社を明らかにする方法をいいます。
反対に非明示型とは、「複数の不動産会社に依頼しているか」「他にどの不動産会社に依頼しているか」を公開しない方法をいいます。
不動産会社にとっては、非明示型は競争相手となるその他の不動産会社についての情報が伏せられ、マーケティング活動がしにくいデメリットがあり好まれません。
また不動産会社がレインズに登録することは任意で、販売状況の報告に関する規定はありません。
売り手にとっては、複数の不動産会社と連絡を取り合う必要があり時間や労力がかかるため、とくに忙しい方にとってはおすすめできません。
●専任媒介契約
専任媒介契約とは、依頼できる不動産会社が1社に限られた契約であり、他の不動産会社と同時に契約することはできません。
自分で見つけた購入希望者と直接売買契約を結ぶことは認められています。
また不動産会社によるレインズへの登録が義務付けられていて、媒介契約を結んでから7日以内に登録をおこなわなくてはいけません。
さらに依頼主へ販売状況の報告義務があり、報告の頻度は2週間に1回です。
報告の方法は自由で、文書でもメールでも認められています。
専任媒介契約のメリットは、不動産会社にとって他社が先に成約してしまう不安がないため、積極的に売却活動をおこなってもらえる点があげられます。
不動産会社から定期的に販売状況の報告があるので、市場に見合った営業戦略を立てやすく、限定された1社とのやり取りなので手間が少なく、状況を把握しやすいでしょう。
もし売主自らが買い手を探し出した場合に、成約が認められる点もメリットです。
そのため、専任媒介契約は早期に買い手が見つかることが多いと言われています。
●専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、専任媒介契約と同様に1社の不動産会社とだけ結ぶ契約をいいます。
専任媒介契約と混同しやすいので、違いを明確にしておきましょう。
まず、売主が購入希望者を自分で見つけて直接取引することは認められていません。
売主によって買い手が見つかった場合も、不動産会社を介して売買契約を結ぶことが規定です。
また不動産会社は媒介契約を交わして5日以内にレインズに登録し、1週間に1度以上の頻度で依頼主に販売状況を報告することが義務付けられます。
専任媒介より多くの制約があり、より熱心な売却活動が期待できます。
レインズへの登録がスピーディなので、早く広く物件情報が全国に広がり物件を求める方が見つかりやすいメリットがあります。
次回はお客様のご希望や、状況によるおすすめの媒介契約についてお話しします。