2022/07/31
売却手続きから売買契約・引き渡し・返済計画まで
【家を任意売却する流れ②売却手続きから売買契約まで】
任意売却をおこなう準備が整ったら、売却手続きをおこない売却活動を始める流れになります。
任意売却や競売では、不動産を購入する買主を「買受人」と呼びます。
売却活動は一般の不動産の扱いと同様で、不動産会社と媒介契約を結び、不動産広告やインターネット・新聞などを利用して買受人を探します。
売却活動は、競売を回避するために効率良くおこなうことが求められます。
任意売却はほとんどの場合、家に住みながら売却活動をおこないます。
内覧の日程調整や、当日の購入希望者への内覧対応は、相手に好感を持ってもらえるよう心がけましょう。
家の掃除や整理整頓に力を入れて、印象を良くすることも大切です。
家に暮らしながら内覧対応しなければならないので難しさはありますが、日頃から掃除をこまめにおこなうことや生活感を出さないように収納の工夫をおこないましょう。
また、不動産会社と連絡を取ることや、内覧希望が多い週末などは私用を控えることが早期売却に繋がります。
売却の期限内に、成約・引渡し・決済までおこなわなくてはならないので、時間に余裕を持ちながら、売却活動をおこないましょう。
債権者としても滞納期間が長期に及ぶと不利益を被るため、早めの成約に尽力しましょう。
また、通常の売却と異なる点として、購入を希望する方が現れても、債権者に認められないと契約に至れないことを覚えておきましょう。
そのため購入希望者の条件と債権者の希望を細かく調整する必要があります。
売却活動中は債権者と連絡を取り合い、活動状況を報告しましょう。
無事に債権者が合意する買受人が見つかれば、売買契約をおこなう流れになります。
売買契約の実務的な流れとしては、「購入申込書」と「売買代金分配書」を債権者に提出します。
このときに大切なポイントとして、売却が成立したら所有者は家を手放すことになるため、引っ越し代を売却価格から捻出できないか債権者に相談してみましょう。
引っ越し代以外にも、滞納した管理費や修繕積立金、固定資産税、不動産会社への仲介手数料なども売買代金からの清算が認められる場合があります。
なお、今の家に住み続ける方法として「リースバック」も選択肢のひとつです。
リースバックは、今住んでいる家を売却し、買主となった人と賃貸借契約を結び、賃貸物件として家賃を支払って住み続ける方法です。
続いて、売買契約の際の手付金のルールや特約についてご説明します。
一般的な不動産売買の流れは、契約時に手付金を支払い、登記の移転完了時に残額を支払います。
しかし任意売却の場合は、手付金の慣例はありません。
売却時に支払いが滞納しているため、トラブルになるケースがあることが理由です。
手付金を受領する場合は、不動産会社が預かることが一般的です。
万が一債権者の同意が得られず抵当権が抹消できなかった場合に備えて、契約を白紙解除する特約が定められていることも特徴です。
【家を任意売却する流れ③決済と引き渡しから返済計画まで】
売買契約まで完了したら、決済と引き渡しをおこないます。
決済のタイミングで鍵を新しい所有者に受け渡すので、決済前に引っ越しを済ませておく必要があります。
売買契約の締結の目処が立ってきたら新居を探し始め、引っ越しの段取りを進めましょう。
無事、家を引き渡せる状態になったら、決済と引き渡しをおこないます。
決済当日は売主と買受人、債権者、不動産仲介会社、司法書士が同席し、金額の清算や書類の確認、鍵の引き渡しがおこなわれます。
そして司法書士によって抵当権の抹消手続きがおこなわれ、所有権が移行されます。
決済日には物件の権利書や印鑑証明書、売買契約書が必要なので、事前に準備しておきましょう。
決済と引き渡しが完了した後の流れは、残債務の処理と返済計画を立てることです。
また、オーバーローンにより売却価格でローン残債を払いきれない場合は、残債務をどのように返済するかの計画を立てます。
一括払いか分割払いのどちらかで支払いを完了しなければなりません。
多くの場合は分割を選択し、無理なく支払える毎月の返済額を債権者と相談して設定します。
そのため、債権者に現在の収支状況を正直に伝えて、現実的に返済可能な額を取り決めることが今後の生活を守るためにも重要です。
【まとめ】
今回は、家を任意売却する流れについて、ご紹介しました。
家の任意売却を成功させるには、一連の流れを段取りよく進めることが大切です。
任意売却を検討されている方は流れをしっかりと把握したうえで、慎重におこないましょう。