2022/08/25
旧耐震基準の家を売却する方法!安くなる理由
旧耐震基準の家を売却する方法!安くなる理由を解説
旧耐震基準の家を売却する場合、税金の控除や住宅ローンの利用に支障が生じるため、買い手がつきにくく売却価格が安くなる可能性があります。
旧耐震基準の家の売却方法は、いくつか押さえるべきポイントやコツがあります。
売買取引において、旧耐震基準で建てられたことが価格にどのような影響があるかを把握して、効果的な対策を検討してみてください。
【旧耐震基準の家を売却するには①新耐震基準との違い】
まずは旧耐震基準とはどのような内容か、新耐震基準との違いを含めて解説します。
建築基準法は昭和56年6月1日に改定されました。
それ以前に建てられた建物は旧耐震基準に基づき、改定後に建てられた建物は新耐震基準に基づいて建築されています。
厳密には、建築確認済証の交付日が昭和56年6月1日より前か後かで判断されます。
本来であれば工事が始まった日を基準にしますが、昔の建物の着工日を正確に調べるのは困難であることから、建築確認済証に残っている交付日で区別しています。
次に、旧耐震基準の内容について解説します。
旧耐震基準は、震度5強程度の地震が起こった際に建物が倒壊しない程度の強さが求められています。
対して新耐震基準は、震度6強〜7程度の地震にも持ち堪えられる強度を求める内容です。
新耐震基準で建てられた建物であれば、震度5強ほどの地震ではひび割れほどの損傷にとどまると想定されています。
現に平成7年に発生した阪神淡路大震災では、被害が出た建物の多くが旧耐震基準でした。
また耐震強度に関する法改正は、平成12年にもおこなわれています。
内容は木造住宅に関する耐震性の強化で、柱と柱の間に斜めに配置する筋交いをより強化することや、耐力壁を充足させる基準が組み込まれました。
新耐震基準で建てられていても、木造住宅に関しては平成12年の新改正の基準を満たしていない建物があるので注意が必要です。
【旧耐震基準の家を売却するには②安くなる理由】
旧耐震基準の家の売却金額は、安くなることが一般的です。
その理由を3つのポイントに絞ってご説明します。
●住宅ローン控除が適用されない
住宅ローン控除は年間40万円の税金が安くなるため、節税対策に効果的です。
しかし、旧耐震基準の建物は住宅ローン控除の条件を満たすことが困難なため、買い手にとってはデメリットになります。
住宅ローン控除を適用するには、以下の3つの条件のうちいずれかを満たさなくてはいけません。
・木造住宅は築20年以下、鉄筋コンクリートのマンションは築25年以下である
・新耐震基準に適合している
・耐震基準適合証明書を取得している
耐震基準適合証明書とは、建物が新耐震基準を満たしていることを証明するもので、国土交通省に認められた機関から発行されます。
耐震工事をして現行の基準に適合すれば、買主は住宅ローン控除を受けられますが、費用面や工事期間の観点から、売主にとっては負担が大きくなります。
住宅ローン控除を受けることを念頭に資金計画をお考えの方への売却では、条件を満たしにくい旧耐震基準はネックになり、売却価格が安くなります。
●住宅ローンの審査が通りにくい
旧耐震基準は住宅ローンの審査で不利になる可能性があるため、売却価格が安くなる傾向があります。
旧耐震基準が理由で、建物の担保としての価値が下がり、融資金額が減額されやすいためです。
またフラット35の利用は、とくに難しくなります。
フラット35の概要には、建築確認日が昭和56年6月1日以降であることと明記されていて、旧耐震基準の建物は対象になりません。
旧耐震基準であっても、住宅金融支援機構が定める耐震基準を満たしていれば、審査を通過する可能性はあります。
しかし耐震基準は、建物の形や壁の強度、配置、割合などから総合的に判断され、旧耐震基準の建物が合格するには厳しい条件と言われています。
住宅ローンが利用できない可能性があることは大きなデメリットなので、売却価格が安くなりがちです。
●贈与税が非課税にならない
家を購入する際に親族や親戚に援助をいただく場合、贈与税が非課税になる特例があります。
しかし、旧耐震基準の家はこの特例が適用されないので、買主の税金負担が大きくなるというデメリットを理解しておきましょう。
贈与税が非課税になる特例を利用するには、中古住宅の場合は耐震基準を満たしている証明書が必要です。
旧耐震基準の家は改修工事をしない限り、定められた耐震基準を満たすことは難しいです。
またその他にも、不動産取得税や登録免許税などに関する特例も受けられないので注意しましょう。