2023/01/07
不動産売却における契約不適合責任の注意点について
【不動産売却における契約不適合責任の注意点について】
前回は契約不適合責任の概要についてお伝えしました。
不動産売却は大きな金額が動く取引なので、契約締結後にトラブルが発生することは少なくありません。
不動産売却時に契約不適合責任に関わるトラブルを防ぐために、具体的な注意点について事前に知っておきましょう。
●注意点①売買契約書の内容や特例について
契約不適合責任のトラブルを防ぐためには、売主が売買契約書の細かい内容を事前に把握しておくことが大切です。
不動産や法律に精通していないと理解するのが難しい内容かもしれませんが、不動産の現状と売買契約書の内容が一致しているかは大切なことなので、入念にチェックしましょう。
売買契約書の内容において、不具合についての記載が漏れていないかどうかは重要な注意点です。
中古住宅では、設備に関するトラブルがよく起こります。
古い住宅の設備は、故障や不具合があることが多いため、付帯設備表を作成して懸案事項をまとめておくと安心です。
付帯設備表とは、売買契約書と一緒に買主に引き渡す重要書類です。
契約不適合責任では、売買契約書に記載されているか、記載されていないかが大きなポイントになるので、気になることは細かく書き出しておくとトラブルを防ぐことにつながります。
売買契約書と付帯設備表に漏れなく記載して、不動産の現状を買主に理解してもらいましょう。
また、瑕疵担保責任でも古い住宅を扱う際は、売主が負う瑕疵担保責任を全面的に免除する特例が定められていました。
契約不適合責任に関しても、築古物件の不具合について買主が持つ請求権を免責する特例を設けることは可能です。
ただし、売買契約前に売主と買主で責任を負うべき範囲を明確にしなければなりません。
●注意点②通知について
契約不適合責任では、買主が不具合を知って1年以内に売主に通知することで、追完や損害賠償などの請求をすることは1年を経過したあとでも認められます。
ただし売主に過失がある際は、通知が1年過ぎても買主の請求が認められる場合があるので注意しましょう。
売主の過失とは、「引き渡しの時点で売主が不適合について知っていた」「わずかな注意を払えば不適合を認識できた」「売主に明らかな悪意があった」などの場合です。
このようなことから、売主自身が売却する不動産についてしっかり把握しておき、きちんと買主に伝えることが大切と言えます。
【まとめ】
不動産売却における契約不適合責任について解説しました。
契約不適合責任とは、従来の瑕疵担保責任から改定された売主が負う責任のことです。
不動産の現状と売買契約書の内容を適合させるという注意点を踏まえて、不動産売却後にトラブルのないスムーズな取引をおこなえるように、売却前に不動産の状態を把握しておきましょう。