2023/03/20
自宅を買い換える際の譲渡損失に対して繰越控除が適用される要件
【自宅を買い換える際の譲渡損失に対して繰越控除が適用される要件】
自宅の買い換えで譲渡損失が発生した場合、繰越控除が適用されるためにはどのような要件を満たす必要があるかをご説明します。
所有していた自宅に関する要件と、買い換え先の住居に関する要件に整理して解説します。
●旧住宅に関する要件
・所有期間5年を超える
譲渡する年の1月1日時点で、旧自宅の所有期間が5年を超える場合に適用されます。
譲渡損失が生じると予測される場合は、自宅の買い換え時期を見極めることも大切です。
早く売却するほうが住居の維持管理費は節約できますが、譲渡損失を補う繰越控除を受けられると節税対策になります。
所有期間がわずかに5年に満たない場合は、買い換えのタイミングを先延ばしにすることで結果的に得をする場合があります。
・居住用財産である
ご自身の住居であることが要件です。
過去に住んでいた自宅であれば、住まなくなってから3年が経過する年の12月31日までに譲渡することが要件です。
●買い換え先の住宅に関する要件
・返済期間10年以上の住宅ローンがある
買い換え先の住居を取得した同年の12月31日時点において、その家に対して返済期間が10年以上の住宅ローンを組んでいることが要件です。
現金で購入した場合や、10年未満の住宅ローンを組んで買い換え先の新居を購入した場合は要件に該当しません。
また、借入先が親族など金融機関以外の場合も適用されません。
ちなみに譲渡資産に関しては、住宅ローンの利用の有無は問われません。
・国内にある住居で床面積が50㎡以上である
買い換え先の居住用部分の床面積が50㎡以上であることが要件です。
建物の一部が店舗や、貸し出している場合は、その部分は非居住用部分となり該当しません。
また、譲渡の年の前年1月1日から売却した年の翌年12月31日までに日本国内にある住居を取得する場合に限られます。
・入居する時期
買い換え先の新居を取得した年の翌年12月31日までに居住を始めるか、居住する見込みであることが要件のひとつです。
入居時期を見据えて買い換えをおこなうことがおすすめです。
●自宅買い換え時の譲渡損失に対して繰越控除が適用外となる条件
続いて、繰越控除が適用外となる条件について触れていきます。
買い換えの際に発生した譲渡損失を繰越控除によってカバーする予定であっても、適用外だと減税対象になりません。
買い換え計画は、条件をしっかり把握しておくことが重要です。
売却する自宅の敷地面積が500㎡を超える場合、500㎡を超える部分に相当する金額に関しては控除適用外になります。
また、事業所得や不動産所得、給与所得など、所得の合計金額が3,000万円を超える場合は、繰越控除の適用外です。
繰越控除が適用される期間かつ、合計金額が3,000万円を超えない年に関しては控除が受けられます。
合計所得金額が3,000万円を超える年のみ、控除適用外になると覚えておきましょう。
さらに、繰越控除を適用する年の12月31日時点で、買い換え先の住宅ローンの償還期間が10年未満の場合は適用外です。
【まとめ】
不動産の価値は時間の経過とともに下がっていくので、自宅を買い換えるタイミングで所有物件の価値が高く評価されないことがあります。
譲渡損失が生じる場合は、繰越控除制度を利用して税金の負担を減らしましょう。
適用外になってしまうケースに注意して、税金対策をおこなってください。