2023/06/02
農地の売却は難しい?売却のための申請や注意点について
農地の売却は難しい?売却のための申請や注意点について
農地を相続したものの農業を継続することができない場合や、所有者が高齢化し荒れた農地が放置されている場合、農地の売却を考える方は多いのではないでしょうか。
農地の売却は、宅地の売却とは異なる手続きが必要なので、難しい印象を持つ方が少なくありません。
今回は、農地の売却をおこなう際の注意点や、必要な申請についてお伝えします。
【農地の売却が難しい理由とは】
農地とは耕作を目的とした土地であり、農地法という法律で保護され、売却に関して制限が設けられています。
農地法は、農業者を守り農業生産を促進し、国民に安定した食糧供給をおこなうことを目的にしている法律です。
面積が小さい日本で一定の食料自給率を確保するために、農地は重要視されています。
そのため、売却や用途を変更することが難しい一面があります。
売買などによって所有権を移動させることを権利移動と言いますが、農地の権利移動は農地法によってルールが設けられています。
おもに営農者以外への権利移動の制限や、権利移動をするには農業委員会の許可が必要などの規制が挙げられます。
また、農地を他の用途に変更して登記する「農地転用」をおこなう場合に関しても、要件を満たさなければならないことや、自治体の許可が必要というルールがあります。
一定の農地を確保するために、権利譲渡や転用が制限されていることが、通常の宅地の売却とは扱いが異なり、農地の売却は難しいと言われている理由です。
具体的に農地の売却はどのように制限されていて、売却するためにはどのような手順が必要なのかを解説します。
「農地を農地として利用する買主に売却する」「農地を他の用途で利用する買主に売却する」という2つのケースをそれぞれご説明します。
●農地を農地として利用する買主に売却する
農地を農地のまま売却する場合は、購入者が農家や農業参入者に限られます。
購入者が制限されるため、買主を見つけることが難しくなります。
また、農地の所有者を変更する際は、農地法第3条によって農業委員会の承認を得る必要があることが定められています。
なお、農地を売却する際は、控除や税制面の優遇が受けられるので積極的に活用しましょう。
●農地を他の用途で利用する買主に売却する
2つ目は、農地を農地以外の用途で利用できるように地目変更をおこなってから、農業従事者以外の方に売却する方法です。
転用するには、都道府県知事や農業委員会の許可が必要なことが農地法第5条によって定められています。
ただし、すべての農地が転用できるわけではないという点に注意しなければいけません。
また、市街地に近い農地は農地転用が可能な場合が多く、売却しやすいという特徴があります。
一方で、第2種農地、第3種農地以外の規模が大きな農地は転用が難しい傾向があります。
ご自身の農地が転用の条件を満たしているか、売却前に市区町村ごとの農業委員会に問い合わせてみましょう。
農地転用をすれば、農業従事者に購入者が限定されずに売却を進めることができます。
広大な農地を宅地などに転用すれば、マンションなどの集合住宅や収益物件の需要が考えられ、買主の幅が広がります。
次回は農業委員会への届け出などについてお話します。