2023/06/11
農地を売却する際の農業委員会への申請方法
【農地を売却する際の農業委員会への申請方法】
農地の売却には、農業委員会の許可が必要です。
続いて、申請方法の手順や書類への記載事項など具体的な事務手続きについて解説します。
注意点として、農業委員会の許可なしの売買契約は効力を持たないということを認識しておきましょう。
売主と買主双方が合意していても、農地の所有権移転登記はおこなえません。
農業委員会への申請を忘れないようにしましょう。
申請方法について、順を追ってご説明します。
●農業委員会への申請方法①申請について相談する
農地の売却を考え始めたら、初めに農業委員会へ申請について相談することをおすすめします。
所有する農地をどのような方法で売却するか、方針を検討します。
都市計画法の市街地区分や農地の種別によって、転用できるかどうかが異なります。
転用して売却するか、農地のまま農業従事者に向けて売却活動をおこなうか戦略を検討しましょう。
●農業委員会への申請方法②申請書を記入する
続いて、農地や農地所有者の詳細を記入した申請書を提出します。
記入する内容は、以下の内容です。
・現在所有している譲渡人の情報
・新たに農地を取得する譲受人の情報
・農地の所在地、面積、農地区分
農地として売却するのであれば、譲受人の農業事情についても記載します。
内容は、機械の所有状況、どのような作物を作る予定か、農作業に従事する人数などです。
また、転用するのであれば、転用計画や目的を記載します。
●農業委員会への申請方法③必要書類を揃える
農業委員会への申請はさまざまな書類が必要なので、事前に準備しておくことがおすすめです。
必要書類は各自治体の農業委員会ごとに異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
農業従事者への売却と転用を前提とした売却は、必要書類が異なります。
ご自身のケースに応じて、書類を漏れなく揃えましょう。
申請には、以下のような書類の提出が求められます。
・土地登記事項証明書
・土地の測量図、位置図
・周辺の地図
・農家証明書
・残高証明書
書類の取得には時間がかかり、費用が発生することに注意しましょう。
たとえば法務局で取得する位置図に関しては、1通500円かかります。
また、境界線が曖昧な場合は、近隣の土地所有者に確認して明確にする必要があります。
●農業委員会への申請方法④協議・許可
農業委員会で申請が受け付けられると、協議に入ります。
申請から許可まで、期間は2〜3か月程度かかります。
許可が下りるまでの期間を見据えて、売却活動のスケジュールを立てましょう。
【農地を売却する際の注意点】
農地を売却する難しさと申請方法など実務の流れを解説しましたが、続いて農地を売却する際の注意点について触れていきます。
農地を売却する際、農地のままだと購入希望者が限られて売却が難しいため、転用を希望される方が多いです。
その際に所有している農地が、農業の振興を図るために守られている優良農地を意味する「農業振興地域」の場合は注意が必要です。
農業振興地域は、略称「農振」といい、農振の場合には農振除外申請をおこなわなくてはなりません。
農振除外は、以下の要件を満たすことが農地法によって定められています。
・農用地区域以外に代替する土地がないこと
・周辺農地に支障を及ぼさないこと
・周辺の農業従事者の営農環境に支障を及ぼさないこと
・農業用施設の機能に支障を及ぼさないこと
・農業生産基盤整備事業が完了してから8年以上経過していること
また、申請したからといって必ずしも認定されるわけではありません。
すべての農地が転用できるわけではない点に注意しましょう。
農地として残すべきだと判断されれば、農地転用はできません。
さらに申請時期や期間にも注意が必要です。
農振除外申請の受付は年に2〜4回が一般的であり、さらに受付期間を10日ほどに限定している自治体があります。
農振除外申請をおこなう場合は、事前に受付期間を調べて入念に計画する必要があります。
申請の際、土地登記事項証明書など書類を提出しなくてはならないので、申請時期に間に合うように書類の入手を進めましょう。
また、申請してから転用許可の通知が交付されるまで、1〜2年程度の期間がかかることが一般的です。
農地は転用から売却に至るまで、長い年月がかかることを認識しておきましょう。
【まとめ】
農地の売却方法や注意点についてお伝えしました。
農地の売却は農地法によって保護されているため、宅地のように誰に対しても売却できるわけではないということが難しいとされる理由です。
申請方法も他の土地とは異なり特殊です。
所有する農地によっては売却までに数年かかる場合があるので、入念に準備を進めましょう。