2023/11/12
【不動産の査定方法「原価法」について】
最後に原価法について解説します。
原価法は、対象物件をもう一度建築や造成した場合に、どのくらい費用がかかるか再調達価格を割り出して、査定価格を求める方法です。
再調達価格とは、対象物件の再建築にかかる費用のことです。
再調達価格を求めたら、減価修正をおこない、現在の価値を算出します。
減価修正とは、築年数にともなう経年劣化を再調達価格からマイナスすることで、価値の下落を算出することです。
経年劣化を数値化するために、税法によって構造別に建物の耐用年数が定められています。
劣化状況に応じて個体別で減価修正される場合もあります。
建物の損傷やシロアリ被害などマイナス要因がある場合は、査定価格が減額されます。
原価法は、一般的に一戸建ての建物部分を査定する際に使われます。
建築されてそのままの場合は、経過年数に応じて建物が老朽化した分が差し引かれますが、リフォームや特殊な設備が設置されている場合は価格の補正がおこなわれます。
価格補正の要因は、具体的に以下のような内容です。
・環境
立地や方角、周辺状況が好条件であれば価格が高くなります。
・駐車場
駐車場の有無、とめられる台数の多さによって価格が補正されます。
・リフォームや修繕
リフォームや増築、適切な修繕によって建物の性能が上がっている場合は、価格が高くなります。
・設備
太陽光発電システムや省エネ設備など最新の設備が導入されている場合は、評価されます。
・建物の状態
良い状態で維持管理されているものは加算補正され、反対に状態が悪いと減算されます。
続いて、原価法の計算方法をご紹介します。
・査定価格=単価×総面積÷耐用年数×残存年数(耐用年数-築年数)
たとえば、総面積80㎡、築11年の木造一戸建ての建物を原価法で鑑定するとします。
木造建築の1㎡あたりの単価を15万円と仮定します。
木造建築の耐用年数は、国税庁により定められている22年を使用します。
計算式に当てはめてみると以下のように算出できます。
単価15万円×総面積80㎡÷耐用年数22年×残存年数(耐用年数22年-築年数11年)≒600万円
上記の条件を原価法で計算すると、積算価格は600万円になります。
原価法の計算式は比較的シンプルなので、ご自身で試算してみることも可能です。
ただし、どのような内容にいくら加算されるかという補正については専門知識が必要です。
【まとめ】
不動産査定の算出方法には、「取引事例比較法」「収益還元法」「原価法」の3種類があり、それぞれ特徴があります。
不動産を売却する際には一般的に査定をおこないますが、どのような方法でおこなうかご自身でも理解しておくと、より納得して売却が進められるでしょう。