2023/11/19
住宅ローン控除が改正!不動産売却への影響について
住宅ローン控除が改正!不動産売却への影響について
住宅ローンを利用すると、税金が減額される住宅ローン控除を受けることができます。
2022年、税制改正により住宅ローン控除の内容が変更されました。
この記事では、住宅ローン控除の改正が不動産売却にどのような影響を及ぼすかを解説します。
築年数要件の撤廃や査定方法、不動産売却時の注意点についてご紹介しますので、ぜひご参考になさってください。
●不動産売却に関わる住宅ローン控除の改正①築年数要件が撤廃
今回の住宅ローン控除改正の大きな特徴の一つは、築年数要件の撤廃です。
これまでの住宅ローン控除の対象は、以下の要件を満たしていることが必要でした。
・木造住宅などの耐火建造物:築20年以内
・コンクリート造の建物などの耐火建造物:築25年以内
以上の要件をクリアしていない場合、住宅ローン控除を受けるためには以下の証明書を取得する必要がありました。
・耐震基準適合証明書
・既存住宅性能評価書
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の付保証明書
築年数要件を満たしている住宅は住宅ローン控除を利用することができましたが、築年数要件を超えている既存住宅は多く、それらは住宅ローン控除の適用外になっていました。
その理由としては、証明書や評価書の基準を満たすことが現実的に難しいことや、手続きが煩雑であることがあげられます。
改正前の要件は、既存住宅の売却において買主の負担が大きくなるため、買い手が付きづらくなる要因の一つとなっていました。
実際に、近年の既存住宅の販売実績を読みとくと、住宅ローン控除の恩恵を受けるために、築年数要件を満たす物件に売れ行きが集中している傾向があります。
2022年の住宅ローン控除の改正で、新たな要件として「昭和57年1月1日以降に建築された住宅であること」とされ、これまでの築年数要件は事実上廃止されました。
昭和57年1月1日が起点となるのは、昭和56年6月1日に建築基準法が改正され、新耐震基準が導入されたことが関係しています。
昭和57年以降は、新耐震基準を満たしていない建物は法律上認められないため、昭和57年以降の建物は新耐震基準を満たしていると判断できます。
住宅ローン控除改正によって、税制優遇の対象が広くなったことで、不動産売却市場に影響が出ることが予測されます。
これまで築30年や40年の不動産は、住宅ローン控除の対象になるため購入希望者から敬遠されていました。
しかし改正後は、築年数要件が緩和されるため、築古物件の取引が活発になることが期待されます。
このように住宅ローン控除の改正によって、以前よりも既存住宅の売却活動が行いやすくなるでしょう。
注意点として、昭和56年以前の建物に関しては改正後も築年数要件の対象外になるので、売却する予定の不動産の建築年は確認しておきましょう。
●不動産売却に関わる住宅ローン控除の改正②査定方法
住宅ローン控除の改正に後押しされ、不動産売却に踏み出す方は多いのではないでしょうか。
不動産売却の第一歩は、不動産会社による査定です。
住宅ローン控除の改正が行われても、不動産会社の査定方法はこれまでと同じ方法です。
不動産売却を行うにあたって、査定方法の流れや注意点について知っておきましょう。
不動産の査定方法は、「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つに分けられ、それぞれ査定する対象物や計算方法が異なります。
取引事例比較法は土地・中古マンション・中古一戸建ての土地部分、原価法は中古一戸建ての建物部分、収益還元法は投資用の収益物件に対して用いられます。
次回はそれぞれの査定方法についてお話します。