ご相談の多い借地権のお話

2021/06/27

ご相談の多い借地権のお話

ご相談の多い借地権のお話

いつもご相談の多い借地権についてお話ししたいと思います。借地権には旧法借地権と新法借地権とがありますが、現在、市場で流通しているもの、ご相談の多いものは旧法借地権なので、ここでは旧法借地権についてのご説明とさせていただきます。

そもそも、借地権とはどういうものなのでしょうか?

建物を所有することを目的とした土地賃貸借契約(債権)の事です。借地権の根拠及び他人への対抗要件(権利の主張)には、土地賃貸借契約・建物登記・相当の対価(地代)の支払いが必要となります。一般的には建物の所有者(土地の利用者)を借地権者・土地所有者(地主さん)を底地権者と呼びます。

駐車場・資材置き場等を目的とする借地は、民法の賃貸借契約を根拠とする「一般の賃貸借契約」で借地借家法の適用はありません。

親族等から土地を借りて建物を建築して利用している場合で、建物が登記されていても「土地の固定資産税・都市計画税」だけを支払っている(必要経費だけ支払っている)だけでは「対価」を支払ったことにはなりません。この場合は、民法上(593条)の使用貸借とみなされますので注意が必要です。相続等があった場合トラブルの原因になるケースも多いので不動産会社にご相談することをお勧めします。

一番ご相談の多いのは更新料についてです。

更新料とは土地賃貸借契約更新時に地主さんに支払うお金のことです。地主さんとしてはまとまったお金の入る時なので「ある程度の金額が欲しい」と思うのは当然です。また、借地権者は預貯金からの捻出となるケースが多いので「少しでも安く」と思います。お互いの思いが相反する事となります。しかも後述する「増改築承諾料」「条件変更承諾料」「譲渡承諾料」と違い裁判所の基準が示されていないのも、ご相談の多い理由かと思います。

まず、過去の更新時に更新料を支払っているか?土地賃貸借契約書に「更新時には更新料を支払う」等の文言が書かれているかを調べてください。過去に支払っている場合や、「更新料を支払う」といった文言があれば、原則、「支払わなければならない」と思ってください。また、具体的に更新料の金額や算出する基準が示されている場合は、それに従います。もし、経済的な事情で全額支払えない場合は地主さんとお話をしましょう。その上で支払える金額の提示や月々の地代に上乗せして支払うなど誠意をもって対処しましょう。個々の事情もあると思いますので、よく話し合って決めるのが最善の策です。土地賃貸借契約(借地権)は長期間に及ぶものですし、借地権者・地主さんにとっても大切な資産です。相続や売買の対象にもなります。建替え・増改築・条件変更・売却など地主さんの承諾が必要なことも多いです。契約の当事者である借地権者と地主さんの仲が険悪になるといろいろ不都合が生じます。

どうしても、話し合いがつかない場合は裁判所に申し立てることとなりますが、地主さんとしては更新料の法的請求権が認められていないので、「地域の慣例や借地権者の支払能力に応じ決める」というのが現実的な落としどころではないでしょうか。万一、裁判所が支払義務を拒否してしまうと、地主さんは「一銭ももらえない」といいうことになります。土地賃貸借契約の当事者同士がもめてしまうとお互いに困ることになります。当事者間で直接、話し合うのも結構ですが話し合いの途中でこじれてしまった場合、修復するのが難しくなるケースが多いので注意が必要です。

このコラムでは一般論をお話しています。不動産には個々の事情も大切な要素です。お困りの方はご相談ください。

次回は「増改築承諾料」「条件変更承諾料」「譲渡承諾料」についてお話ししたいと思います。

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