2021/07/09
ご相談の多い借地権のお話④
今回は「譲渡承諾料」についてお話ししたいと思います。
●「譲渡承諾料」はどのような場合に支払うのでしょうか?
借地人が借地上の建物を譲渡(売却)した際に伴う借地権の譲渡に対して借地権者(譲渡人)から地主さんに支払います。「名義変更料」「名義書換料」とも呼ばれています。「譲渡承諾料」が必要になるのは主として売買・交換・贈与等で相続等は原則、必要がありません。借地権は契約によるもので、地主さんと借地権者の信頼関係が非常に重要な要素です。だれが借地権者になるのか、賃料の支払いはちゃんとできるのか、正しく使用してくれるかなどは地主さんには非常に重要です。借地権者は勝手に借地権を譲渡・転貸出来ません。これに違反した場合は、原則として地主さんから契約を解除されてしまいます。必ず地主さんの承諾を得る必要があります。また、地主さんには優先買受権があるので、借地権売却の際は事前に地主さんにお話をする必要があります。
●では、譲渡承諾料の相場の目安はいくらでしょうか?
やはり、借地非訴手続きが用意されていますので、借地非訴手続きにおいて裁判所が命ずる額が参考になります。借地権価格の10%の支払いを命ずる裁判例が多いようです。「増改築承諾料」「条件変更承諾料」と異なり「借地権価格」の10%ですのでご注意ください。また、売買では「譲渡承諾料」は売主が支払う場合が多いようです。
どうしても地主さんの承諾が得られない場合は、裁判所に申し立てて地主さんの承諾に代わる、許可をもらいます。但し、裁判所のが定めた「承諾料」の支払いが必要となります。
どちらにしても借地非訴の裁判は最後の手段です。何度も申し上げているように、当事間の信頼関係が崩れるとお互い良いことはありません。話し合いで決めるのが基本です。