2021/09/05
遺言書があるのに遺言の意味がなくなるケースがある!?②
●「予備的な遺言」を作成しておくことも検討
遺言書を作成した時は元気でも、その後認知症等によって遺言能力をなくしてしまう可能性もあります。そのため、あらかじめ遺言書作成時に「予備的な遺言」を作成しておく方法もお勧めです。
予備的な遺言とは、遺言作成後の不測の事態に備えて次善の方法を書いておくものです。例えば、「配偶者に自宅を相続させるが、遺言者より先に又は同時に配偶者が死亡していた場合は自宅を長男に相続させる」といった内容です。配偶者に限らず、「長男に自宅を相続させるが、遺言者より先に又は同時に長男が死亡していた場合は自宅を長男の子である太郎に相続させる」なども可能です。
子世代に相続させる場合はともかく、遺言者と同年代の配偶者に相続させる財産がある場合はこの予備的な遺言の活用も検討したいものです。
●相続放棄などがあった場合に備えるには
相続人の構成は遺言作成時と変わらずとも、相続人が相続放棄をしたり、受遺者が遺贈を放棄したりした場合も、その部分の遺言については実現が不可能になってしまいます。このような場合も放棄された財産については原則として遺産分割協議が必要になりますので、生前に対処しておく場合には前述の予備的な遺言を作成しておくこと良いでしょう。
次回は遺言執行者についてお話をしたいと思います。