2021/11/14
土地の査定方法とは?前面道路との関係や土地の形状について解説①
土地の査定方法とは?前面道路との関係や土地の形状について解説!
不動産市場で日々取引される土地の価格は、立地条件と面積だけで決まるわけではありません。
周辺の地価や前面道路、土地の形状など、さまざまな要素によって査定価格が算出され、成約価格は売主と買主の事情によっても変わります。
今回は、土地の査定方法について、地価の公的評価や前面道路、土地の形状の影響などを解説します。
【土地の査定方法で用いる3つの公的評価とは?】
駅からの距離や土地の広さ、形状はほとんど同じでも、立地が違うと地価が大きく異なることがあります。
土地を査定するときは、多くの場合「取引事例比較法」を用いますが、このとき比較のベースとなるのが周辺の取引事例を1㎡あたりの単価に換算した地価です。
一般の方は取引事例を見ることはできませんが、国土交通省や都道府県が調査して公表する公的評価で地価の目安を知ることできます。
公的評価には、主に「公示地価」「基準地価」「相続税路線価」の3つがあります。
いずれも1㎡あたりの単価で公表されています。
●公示地価とは
公示地価とは、国土交通省が毎年3月下旬に公表する公的な地価の指標のことです。
一般の土地の取引価格の指標として、また公共事業に土地を供出する方への適正な補償額を算出するために公示されています。
調査時期は毎年1月1日で、国土交通省の土地鑑定委員会が決定した「標準地」の地価を、1地点につき不動産鑑定士2名以上による鑑定評価をもとに決めます。
同じ地点の地価を毎年公示するので、地価の動向がわかりやすいという特徴があり、さまざまな場面で活用されています。
●基準地価とは
基準地価とは、都道府県が毎年9月下旬に公表する地価です。
公示地価の「標準地」は国土交通省が決定するのに対して、基準地価の「基準地」は各都道府県が決定します。
都市部以外の周辺地域も調査されているため、公示地価の補助的な指標となります。
調査時期は毎年7月1日で、1地点につき不動産鑑定士1名以上による鑑定評価をもとに決められています。
●相続税路線価とは
相続税路線価とは、道路に面した土地の価格水準を示したもので、「路線価」とも呼ばれます。
文字どおり、相続税の課税評価額を計算するために作られているため、国税庁が公表しています。
評価時期は毎年1月1日、公表は7月下旬で、国税庁のホームページの「路線価図」のページから確認することができます。
路線価は、公示地価の80%ほどが目安となっています。
なお、土地の固定資産税評価額は相続税評価額と同じく路線価をベースにして決められており、3年ごとに見直されています。
【公的評価と実勢価格は異なる】
公示地価や基準地価、路線価といった公的評価は、あくまで目安となります。
実際の土地の売買価格(実勢価格)は、道路との関係や土地の形状、配管や権利関係、測量の有無などさまざまな要因で変わります。
都市部では、取引が盛んであるため、公的評価より実勢価格のほうが高くなる傾向にあります。
一方、地方で公共交通機関から離れているなど、立地条件の悪い土地の場合は、周辺に取引事例も少なく、公的評価よりも安い価格で取引されている例もあります。
次回は土地と道路の関係・土地の形状や面積による評価の違いについてお話したいと思います。